綾戸さんが昨年末あたりから、黙々と弾き語りの新作をレコーディングしている。
個人事務所(有)MY DOから発売するアルバムだ。
っで、今日ちらっとスタジオに覗きに行った。
そのレポートは次号会報に書きますのでお楽しみに。
さて、では寺島靖国さん宅のオーディオ専用電柱&トランス工事顛末記の続きを。
家の前の道路を通行止めにして、関電工の2台の車からクレーンが伸びて電源工事が始まって1時間ほどした時、う〜んだめだな、と寺島さんが言い出した。
電柱の上の部分の金物の部分がど〜も気に入らないな。
色を塗りたいね、色を。
どんな色がいいかな?と訊かれたので、電柱が緑ですからね〜、黄色が可愛らしくていいんじゃないですか?と冗談半分に答えると、黄色、いいね〜、派手だね〜、そうしよう。
ついでに、寺島家の旗を付けるってのはどうでしょう?
ま、それは却下されたけど。
早速寺島さんは自転車でペンキを買いに行き、出水電器の島元さんがクレーンにのって色を塗り始めた。
いいですね〜、これから人に家の場所を教える時に、吉祥寺本町近くまで来たら空を見上げてちょうだい。
グリーンのてっぺんが黄色く塗られている電柱が我が家だから、って分りやすいですよね。
本当だね、いいね〜。
あくまで嬉しそうな寺島さん。
お昼前にトランスの取り付け工事は終了し、午後になりオーディオ・ルームまでケーブルをつなげる工事が続いた。
寺島さんが好きなガツーンという音が出やすい日立電線、しかも今までのケーブルとは太さがこんなに違いますよ、と、自信満々の島元さん。
そして、配線工事は5時過ぎになってようやく終了し、ついに電源が入れられた。
今朝聞いたベース&ドラムスどか〜ん、スネアのリム・ショットがスパ〜ン、シンバルがジュワ~ンなCDが再びかけられた。
二度、三度イントロ部分を全身を耳にして聞いていた寺島さんの一言。
「ダメだ!音がきれいにまとまり過ぎている。一番恐れていたことが起こってしまったぞ」
一瞬凍りついたのね、その部屋は。
ぼくは音が出た時に、あまりにも素晴らしいベースの音にビックリした。
流石、マイ電柱&マイ・トランスを設置しただけはある。
今朝聞いた時より低音ががっちりと締まってベースの音程が見事に聞き取れる。
そのことを寺島さんに伝えると、つまり音の重心が下がった為にベースがくっきりと浮き出るようになったわけなんだ。
その代わり、スカ〜ンと切れ味鋭いスネア・ドラムのリム・ショットの音はおとなしくなっちゃたんだよね。
う〜〜ん、いかん。
前に書いたように、寺島さんはいい音が聞きたいのではなくガツ〜ンと身体に突き刺さる音がお好みだ。
普通のオーディオ・マニアであれば、このの結果に大喜びするところだが、ピアノ・トリオにピアノはいらないと切り捨てる寺島流オーディオ道では、美しい音など何の意味もない。
ここが、オーディオの面白いところなのね。
それから1時間近く、今後の傾向と対策について話し合いが行われた。
結果的には、1週間程してエージング(ならし運転のようなもの)が終わり、音が落ち着いてから、ケーブルの接点の素材を変えて、音をパワフルに変えることが島元さんから提案された。
心配そうな寺島さんとはうって変わって自信満々の島元さん。
大丈夫ですよ寺島さん、電源工事で基本ががっちり出来たんですから音はどうにでも変化しますからご安心下さい。
そうかな〜?な寺島さん。
音がきれいなったためにがっくりしながらも、寺島さんの心の中ではむらむらと闘志が湧いているはず。
どうやって上品なお嬢さんを気の強いアバズレ女に仕立て上げようかと。
頭の中では、あそこを変えて、ここをいじって、それからあれをああして、と、目まぐるしく策略を練り始めている。
当分の間、自分の目指す音にチューン・アップするうれしくも悩ましい日々を寺島さんは楽しむはず。
そしてある日、今まで以上の迫力満点な音が飛び出すだろう。
寺島さん宅のオーディオが再び唸りを上げた時、ぜひ、又聞かせて頂こうと思う。
あ〜、面白い一日だった。
いいよな〜、幾つになってもムキになって音を探し求める我が儘オヤジの姿は。
ぼくも見習わなくっちゃね。
ってなところで、本日は店仕舞い。
また、明日。
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ジャズ喫茶メグ
(小ぶりのアヴァンギャルド・スピーカーが聞けます)