万歩計日和
文/写真・mizugame
今日の写真
本日のネコちゃん。
16.09.09(金)
闘いながら暮らす心得。(12,553歩) 

起床05:30 体温36.2℃ 体重51.4Kg。

都会にあるものは人間の脳の反映だという養老孟司さんの唯脳論の指摘には深く頷ける。

人間の脳から生み出された空間には安らぎがない。

どんなに長い間暮らしても新興住宅地には馴染めないし愛着も感じなかった。

マンションでの生活はコンクリートの素材に囲まれているからというだけではなく息苦しさを感じる。

同じ集合住宅でも外見は廃屋のように見える築数十年の木造三階建のアパートには何の息苦しさも感じなかった。

木材は呼吸をしているから閉塞感が希薄なんだろうね。

合理性と規格優先の画一的な家には遊びも面白みもないけれど、どんなボロ屋であれ一軒家にはカスタマイズする醍醐味がある。

ただしそれには住人の独創性とセンスと思い切りが必要だ。

若い時から生涯借家ぐらしが気楽でいいと思っていたし今でもそう思う。

思いがけず建築家に設計していただいた一軒家に二十年ほど住んだけれど、これは素晴らしく面白い体験だった。

このチャンスを投げかけてくれた弟には感謝するしかない。

当初母親の勧める工務店に提示したところ「それは無理ですよ」と鼻で笑われ断られた低予算での家づくり。

建築家は決してこの予算でも断ることはないのが嬉しい。

敷地面積113.46平方メートルに建てられた建築面積56.70平方メートルという狭小住宅。

あっと驚くほどシンプルでそっけなかったその家を住みやすくカスタマイズするのに10年程かかったが、建築家のデザインした家に住むというのは一生涯建築家と闘いながら暮らすということがよく分かった。

施主が求める便利な暮らし方と建築家の美意識とのつばぜり合いが家を建てている間続くスリリングな体験はなかなか捨てがたいし、その闘いはその家に住んでいる限り続く。

ぼくには全く整理・整頓能力がないので快適な空間に仕上げることが出来たのはnatunekoさんの空間構成のセンスに負うところは誰が見ても明らかだった。

設計家への注文は5つだけ。

(1)響きのいい空間で暮らしたい。

(2)視聴覚部屋が欲しい。

(3)コントラストの強い家に住みたい。

(4)立体的ワンルームにしたい。

(5)トイレと風呂場は明るく広く。

以上、ぼくが暮らしたい家のイメージ。

建築途中に何度もアクシデントが重なり工期がのびた。

そのたびに「いったいいつになったら家が出来るのよ」と母親に文句を言われ続けて足掛け三年かかった我が家は、ぼくの発想が20%、建築家の阿部勤さんが創りあげたうつわの魅力が30%、時間をかけて住みやすい家にカスタマイズしたnatunekoさんの空間構成のセンスが50%発揮されたみごとに気持ちの良い空間で、訪れた友人たちからはことごとく「和むな〜ここは」と言われた。

阿部さんの新しい作品なので建築専門誌の「新建築」から始まり、「美しい部屋」「モダンリビング」「クラッシー」「クロワッサン」「ハウジング」などの女性誌、インテリア誌、建築誌が都内の狭い土地に建てた個性的な家という取材が数年続いた。

テレビ番組「渡辺篤史の建もの探訪」で初めて室内に入った渡辺さんからは「いやいやいや、これは達人の家ですね」と過分なお世辞を頂いた。

阿部さんの宣伝になるので取材を引受けていたものの、すべてとは言わないが、多くの雑誌編集者・取材者・カメラマンの傍若無人で無神経な取材に嫌気がさし一切取材をお断りするようになった。

雑誌を見て、ぜひ家を見せて下さいと見に来た方も何組かいる。

「これは素晴らしい、我が家の参考にさせて頂きます」と喜んで帰ったものの、いざ自分の家を建てる段になると個性的なプランはなりを潜め、平凡で規格に準じた家に収まったということを後から関係者に聞かされた。

建築家の建てた家に住むための第一の心得は、安藤忠雄を一躍有名にした傘をささないとトイレに入れない「住吉の長屋」に住みたいと思うような遊び心と思い切りだ。


次は一から家を建てるのではなく古い家をリハウスというのが面白いかな。

家づくりに興味のある方は当時のことを書いた「家づくり奮闘記」をご笑覧下さい。

家づくり奮闘記(1~7&最終章)

ってなところで、本日は店仕舞い。
また、明日。


本日のキーワード
・阿部勤


・阿部勤さんの自邸の記事を目にして設計をお願いしました。


・住吉の長屋


新建築 住宅特集 1991年3月号
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美しい部屋別冊 私の家づくりNo.6 1991年
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モダンリビング 1992年 No.79
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私の部屋 BISES 1998年 秋号
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朝日新聞 1991年1月10日付け朝刊
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本日のワンちゃん

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