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CDレビュー&ライブの感想文


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イチオン 巷の噂



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 2020年東京五輪・パラリンピックは、スポーツだけではなく文化の祭典ともなる。日本が培ってきた文化を世界中から集う人たちに魅力的に伝えられるかどうか。
 そんなことを思いつつ、いろいろな音楽を集めて聴いていると、面白い「響き」と出会った。アライシアキラ、キラライラの男女で組まれた音楽ユニット「イチオン」。
 二人が目指すのはアイヌ民族の伝統音楽をベースにしたダンスミュ−ジック。電気技師でもあるアライシが自作の電子楽器などで奏でる重厚なリズムと幻想的な音に、キラが透き通るようなボイス(声)を乗せていく。
 ボイスで発せられるのは、文字を持たないアイヌ民族が口伝で伝えてきた神話の世界だ。アイヌの少女で金田一京助の弟子となった知里幸恵さんが、大正時代に初めてローマ字で発音を書き写し、日本語に翻訳した『アイヌ神謡集』を題材にしている。
 知里さんは本の校正を終えたその夜に心臓病のため十九歳で急逝した。命に替えて伝えたのは、雄大な自然と共生するアイヌ文化の素晴らしさ。その文化に直に触れ、理解を深めたいという思いから、イチオンが今年発売したCD『銀のしずく降る降るまわりに』 (ピンポイント)は北海道の阿寒湖、洞爺湖などの自然あふれる野外で録音した。
 三年後、二人の音は世界に響き渡るのか。そうなってほしい。 (鈴木遍理)

2017年11月22日東京新聞朝刊より


『銀のしずく降る降るまわりに / イチオン』 (PCD-2501)

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CDショップはこちらです。


北海道新聞20171114_2.jpg  男女2人組の音楽ユニット「イチオン」=神奈川県在住=が知里幸恵の『アイヌ神謡集』を題材にしたアルバム『銀のしずく降る降るまわりに』(ピンポイント)を発売し、東京都内で記念ライブを行った。電子楽器によるポップな曲調にのせ、アイヌ語の詩を歌い上げる。テクノ音楽版わらべ歌のようにも聞こえる。  イチオンはVOICE(声)を担当する女性キラライラと楽器を演奏する男性アライシアキラが組み、10年ほど前に活動を始めた。アイヌ音楽に強く引かれ、曲づくりに取り組んだ。  4日のライブでは、アルバムから8曲が披露された。海の神にまつわる曲では、キラの幼女のようにピュアな声を引き立てるように、アライシがズンズンと電子的な音を響かせた。来場して初めてライブを聴いた作家の島田荘司さんは「新しい。革命的だけど、同時に懐かしい。かっこいい」と興奮した面持ちで語った。  アルバムには表題曲や「トワ トワ ト」(狐が自ら歌った謡)など13曲を収録。録音は氷上の阿寒湖など、北海道の自然の中で行った。アライシは「アイヌ語は言葉に丸みがありかわいらしい」、キラは「曲を通し、アイヌ民族の方々の自然と共存する気持ちが伝わってほしい」と話している。(上田貴子) 2017年11月10日付北海道新聞(夕刊)より





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プリミティブだけれども、洗練されていて、何度も聞きたくなるイチオン。不思議な体験です。
青木冨貴子(ジャーナリスト)

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11月4日、四谷三丁目の綜合藝術茶房 喫茶茶会記でのイチオンのライヴはまたまた、たいへん素晴らしかった。
ヴォーカル、キラライラの声は深い湖や森の奥からきこえてくる音のよう。いっけん、テクスチャの違うアライシアキラのエレクトロなサウンドと見事に融合する。

強いメッセージのある詩ではあるが、アイヌの言葉のためストレートに意味が入ってこない。その分、耳だけでなく身体ぜんたいで、シャワーを浴びるように受け止めることができる。
照明、サウンド、ヴォイス。この三要素が私をいろいろなところに連れて行く。満月か皆既日食を模した光からは、ヘプタポッドの言語を思い起こさせ、過去と現在と未来が同時に存在する世界を想像した。

一度、森のなかで彼らのライヴを体験したい。森に囲まれた湖の畔もよいかも。妄想は広がるいっぽうなのである。

ライヴが終わり会場から外にでると、雨のあとの湿気を帯びたひんやりとした空気が気持ちよかった。高い空には満月が輝いていた。これも演出のようだった。

野間ゆう子(編集者)

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今宵はイチオンのライブ。
CDを聴いて以来すっかりハマってしまったユニットの初ライブ。
文字を持たないアイヌ民族に口伝で伝えられてきた美しい神揺を電子音にのせたサウンド。不思議な響きにトランスした
様々な可能性を感じたワクワクするライブ。

大河内善宏


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新しい。革命的だけど、同時に懐かしい。かっこいい。
島田荘司(作家)


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 演奏を聴いていると、宇宙船に乗って宇宙を旅しているような感覚でした。宇宙船の行き先は「未来」ではなく「過去」。
 亡くなった祖母や父も加わって、囲炉裏端で火にあたりながら家族皆んなで談笑している光景が目に浮かびました。
 イチオンの音楽は僕にとって、未来に向かうのではなく、時を遡り、人間が本来持っている優しさ、懐かしさを取り戻してくれるものです。

青木健一(フリーアナウンサー)


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アライシアキラ



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キラライラ



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アイヌ伝統の口承文化とアイヌ神話などに魅せられ、アイヌ音楽をベースにしたエレクトリにクスな表現を試みているイチオン(ICHION)の新作。ちなみにイチオンは、アイヌ文化に造詣の深いアライシアキラと、独特のヴォイス・ミュージックを聴かせるキラライラからなるユニット。アイヌ語と、その独特な語感を活かしたボイス、電子音的なパーカッションとのコラボが不思議な空間をつくり出す。座り歌(ウポポ)なども収録。故安東ウメ子や中本ムツ子などのアイヌの伝統歌に親しんでいる方にも、アイヌ音楽への新しい実験的アプローチとしてお薦めしたい
【今月の話題盤[日本のポピュラー]】増渕英紀


「坐り謡」をご試聴下さい



 



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ICHIONは、サウンドクリエイターのアライシアキラと、ヴォーカルのキラライラのふたりによるユニット。このアルバムは、1923年に出版された『アイヌ神謡集』という、その前年に19歳で他界した知里幸恵さんという人が執筆した、祖母や叔母から聴かされたアイヌ語の叙事詩をローマ字表記した謡を取り上げているという異色作。ノイズ、ミニマル、アンビエンス、テクノなどが融合した、ノンジャンルで無国籍で無機質なサウンドと、アイヌ語の響きが、今まで聴いたことがないような、不思議で、独特な音世界を作り出してます。アイヌの深い世界観が垣間見られる作品であります。
【今月のちょっとJAZZ】選・文:熊谷美広


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アイヌのユーカラ(叙事詩)に強く共鳴した、非アイヌの二人組ユニットがイチオン。2枚のCD-Rから選曲され、新たにサウンドの追加、リミックス、マスタリングが施された本作には、94年前に発売された知里幸恵の『アイヌ神謡集』に掲載されていたカムイユーカラの(神謡)を楽曲にしたものなどが収録されている。
近年のOKI DAUB AINU BANDやマレウレウといったアイヌによる音楽と比べると、「和人」であるイチオンの音楽は昂揚感やトランス感が欠けていて、シリアスすぎるきらいがある。そうした中でも、イチオンだからこそできる音楽だと感じたのは「トワ トワ ト」。トンコリを弾かない彼らにとっては、エレキ・ギターが前面に出たサウンドこそが自身のアイデンティティが表出したものとなっている。テクノなサウンドが多いが、ドラムンベースのようなリズムが鳴る「サアエサアオオ」を筆頭に、リズム面での工夫はユニーク。アイヌへの敬意をもとにした、和人ならではの音楽的アプローチの可能性を示す作品だ。

宗像明将


「トワトワト」をご試聴下さい。



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知里幸恵(旭川区立女子職業学校時代)



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アイヌ伝統の口承文化に興味を抱いて、アイヌ音楽をベースにしたエレクトロニクスな表現を試みているアライシアキラと独特のヴォイス・ミュージックを聴かせるキラライラとのユニット、イチオンのデビュー作。アイヌ語を使ったヴォイスと、電子音的なパーカッションとのコラボが不思議な空間を作り出す。
(淵)


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(タワーレコード フリーペーパー)
言語学者の金田一京助の勧めで1922年に『アイヌ神謡集』を完成しながら、著者である知里幸恵は心臓発作のため19歳の若さで死去。翌年出版されたこの著作はアイヌ民族の自然消滅化を暗に進める悪法の苦しみから、アイヌ人の復権を即し、地位向上へと導くきっかけとなったことで知られている。この『アイヌ神謡集』をベースにテクノロジーを駆使したサウンドで楽曲制作を行ったのが多楽器を操るアライシアキラと、神秘的なヴォイスでアイヌの持つスピリットを表現するキラライラからなるイチオン。本作はアイヌとテクノの融合が時空を超えて古来のメッセージを伝えるデビュー作。
(本社 馬場雅之)


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知里幸恵(金田一京助宅の庭にて)



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文字を持たないアイヌ民族に口伝で伝えられてきたカムイユーカラ(神の目から語られた叙事詩)とダンサブルな電子実験音楽、そして北海道のアイヌの聖地でレコーディングされたシャーマニックな女性ヴォーカルが融合した、前衛的でありながらどこか懐かしさを感じさせるイチオン1stアルバム。アイヌのスピリチュアリティを新たな形で未来につないでいく。

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