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文・あかいししょーこ
混沌とした現実を打ち破るかのように聞こえて来る「こえ」があります。
その「こえ」をお届けします。
17.12.18(月)
それはまた別のものがたり〜ご縁を大切に〜


40年くらい前にたった1回お会いした人がいます。


当時携わっていた仕事から私が離れたこともあり、全く別の領域で暮らしていた人でしたが、時が満ちたのでしょうか。


40年ぶりにお会いしました。


数十年ぶりといえば、先日中学校の同窓会がありました。


中学を卒業したのは1964年です。


それはもう53年前というのですから、そんなに長く生きていることに改めて驚いてしまうのですが、最近は時間の経過がリアルではなく、ヒトゴトのようにただただ周囲を過ぎていくだけといった感があります。


中学校といえば、2年の時にクラスメイトだったH君に恋をしていた時期がありました。


この恋は実にやっかいでした。


どんな人と付き合ってもH君と較べてしまうのです。


較べたってどうにもならないのに、馬鹿な話です。


隣の高校だったH君とは卒業式の日に駅のホームで会ったのが彼を見た最後でした。


その後の消息といえば医者になったこととかT県に住んでいることを友人経由で聞くくらいでしたが、久々に開かれた同窓会に出かけた時のことです。


遅れて着いた受付には胸につける名札が何枚か残されていて、自分のを受け取る時にふと目をやるとH君の名札があります。


H君、来るんだ!


大人になったH君はどんな男性になっているでしょう。


楽しみにしていたのですが、何か用事ができたとのことで、会うことはできませんでした。


H君、この前の同窓会には来たんだけどね。


昔の恋心を知っている友人が「残念だったね」の思いを込めて教えてくれましたが、縁があるとかないとかを考える時に、まず浮かんでくるのはH君のことです。


H君とは本当にすれ違いばかりでした。


あれはクラスが一緒だった2年生のときです。


クラブ活動が終わって教室に戻ると、暗くなった部屋にH君がいて、帰り支度をしています。


部屋には私たちふたりだけです。


何か気のきいたことを話せばいいのに、口に出せた言葉といえば「さよなら」だけでした。


そして、クラスが離れてしまった3年のとき。


各クラスから何名かの代表が出てフォークダンスの講習を受けた時でした。


クラス委員のH君もいます。


はじめは離れた場所にいたH君でしたがダンスが進むにしたがって近づいてきます。


気がつけば隣にいて、ダンスのパートナーではないですか。


でもがっかりです。


せっかく手をつなぐことができたのに、なんということでしょう、手をつないだのはほんの一瞬でした。


それは「オクラホマ・ミキサー」という曲の最後の部分でしたので、H君と肩のところでつないだ手は離さざるを得なかったのです。


でも次の曲でパートナーを組めるから!


ワクワクドキドキしていた私でしたが、次は「コロブチカ」という曲で、今までは右回りにパートナーチェンジをしていたのに、この曲は左回りに相手を変えていくんです。


それはないよね~~~。


H君とは本当に縁がありませんでした。


クラスメイトだった2年の時は席が近いこともあって結構仲良しだったのに、私がこのころ好きだったのは他の人で、H君は恋の対象ではありませんでした。


H君を意識するようになったのは2年生の終わりごろ。


席替えがあり、席が離れてからでした。


人生は皮肉です。


縁があるうちにその縁がどの程度のものなのかを確かめることもせずにただ手をこまねいているだけ。


打ち明けて振られるのが怖い?


自信がない?


これは恋ばかりではなく、大事な局面にあって、常に遭遇する問題です。


彼、あなたの方を見ていたわよ。


高校の卒業式の日、激混みだった電車には乗らずにベンチに座って下を向いていた私に友人が教えてくれましたが、この時点の私に何ができたでしょう。


同窓会の受付でH君の名札を見た時から数年後。


幹事役の友人から次回同窓会の電話があり、H君は来るの?と聞きますと、H君去年死んだのよ、と。


脳外科医だったH君。


彼がどんな大人になったかを「見る」機会は永遠に失われてしまったのでした。


時間と場所を一緒にしているその幸運なタイミングを大事にしなくては。


しみじみとそう思うのです。


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