預言者
文・あかいししょーこ
17.12.11(月)
西方の人(せいほうのひと)


西方の人と言ってもイエス・キリストのことではありません。


正確に言えば「人」ですらないのですが、バーバリーマカクという猿について話したいと思います。


アフリカのモロッコに住んでいるバーバリーマカクはニホンザルの仲間です。


私は「ダーウィンが来た」というTV番組でこの猿のことを知ったのですが、その生態があまりにもユニークでしたので、俄然興味をもってしまいました。


まず最大の特徴はこの猿はオスが子育てをするのです。


血縁があるとかないとかの問題ではなく、老いも若きもオスが競って子供の面倒を見るというのです。


研究者によれば、この行為は次の繁殖期に向けたメスへのアピールだろうというのですが、面倒を見る彼らの仕草が大変おもしろいのです。


バーバリーマカクのオスは歯をカタカタ鳴らして子供をあやすのですが、これはまるでガラガラのような鳴り物を使って赤ん坊を子守する人間のようではないですか。


冬期は雪が降る針葉樹林に暮らすバーバリーマカクの食料といえば、草や植物の根、木の皮、わずかな昆虫などしかなく、とても質素です。


こんな過酷な環境とはさっさとおさらばして、果物や木の実が生えている場所に引っ越せば良いと思うのですが、周囲は砂漠地帯のため、よそに行くことはできないのだそうです。


ライオンやハイエナ等の捕食動物を避けるため木の上で暮らしているバーバリーマカクは、極寒期でも木の上で仲間と寄り添って暖をとりながら仲良く暮らしています。


チンパンジーやニホンザルのようなボスザル的な存在はいないようです。


たまにオス同士の小競り合いが起こることがあっても、形勢が弱い方が子供をお守りする仕草をすると、強い方は「まあいいか」とばかりに勘弁しちゃうというのですから恐れ入ります。


無駄な争いを避けるというのはすごい知性ではないでしょうか。


猿の仲間の中で雪が降る標高で生息しているのはニホンザルとバーバリーマカクだけだそうです。


しかしながらアフリカと日本という遠く離れた地域にどうして同じ種の猿が生きているのか、私には不思議に思えてなりませんでした。


100万年以上前の遠い昔、人類の歴史はアフリカから始まったと言われています。


そして、地球がひと続きの大陸だった氷河期の時代に食料であるマンモスやナウマン象を追って日本にたどり着いたのが後に縄文人へと進化を遂げる類人猿だったわけですが、バーバリーマカクの穏やかな気質には何か縄文の人々を彷彿させるものがあり、乱暴な言い方ではありますが、人間って本当に猿にも劣る存在だなと思わずにはいられません。


縄文の遺跡を調査すると、人々の暮らしの中に貧富の差はそれほどないのが見て取れます。


長老であろうと部族の酋長であろうと後の世の豪族のような暮らしはしていなかったようです。


皆が収穫を分け合って暮らす〜なければないなりに、あればあるなりに〜。


明治政府により土地や様々な権利を剥奪されたアイヌ民族は、DNA的に見ると100パーセント縄文人だそうですが、彼らの暮らし方や生き方には前述した縄文の人々の英知がきちんと継承されていたことが近年明らかになってきました。


アイヌの人々は争いを好まず、裁判沙汰になるようなことがあってもお互いの主張を歌で表現したと言います。


奪い合うことをせず、争いをなるべく避けることが原理原則となっていた社会から今の時代は随分と遠くにやってきてしまいました。


海は汚れ、川は淀み、空も山もかつての綺麗な姿は望むべくもありません。


世界中の億万長者や科学者たちが本気になって地球環境を良くしようと思えば、海や川や森や空はあっという間に綺麗になることは間違いありません。


街には食べ物が溢れ、車さえあればどこにでもいける便利な時代になったように見えますが、人々の心に本当の幸せはあるのでしょうか。


何にもないに等しい厳しい環境の中にあっても、奪い合うことや争いはせずに、それなりに楽しそうに暮らしているバーバリーマカクは、生きる上で大事なことを私たちに教えてくれるために「そこ」にいてくれる


私にはそう思えてならないのです。



私が見たTV番組とは無関係な画像(英語版です)ですが参考までに掲載いたしました。餌をもらっていることから考えますと自然保護区で飼育されているバーバリーマカクのようです。

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